まずはケースから


 今回は何しろトランスが巨大ですから,総重量は 30kg 近くになります.このくらいの重さになると,鋼板やステンレス鋼を使用したいところですが,これらはそれなりの工具を揃えないと,加工が困難です.出来合いのケースを買ってしまうのも手ですが,オリジナリティが無いのと,使うトランスに合ったものが見つかりません.工場に知人がいるなら頼んでしまった方が良いでしょう.今回は,3mm 厚のアルミ板の上に 1mm 厚の真鍮板を乗せる形にしました.取り付けネジ類は皿ネジを使用してアルミ板の方に埋めてしまいます.こうする事で真鍮板の上がスッキリします.サイズは,400mm x 300mm です.この大きさなら部屋に置くにもそれ程大きすぎるということはないでしょう.コンデンサ類を基板付けにしてすべてケース内に入れてしまったので,大分すっきりしました.

 大変なのはトランスの角穴ですが,これはジグソーを持っているなら,簡単でしょう.無い場合はドリルで小さな穴をたくさん空けて,つないでいきます.自分で加工するなら電動ドリルは必ず用意しましょう.あと,スライダックで電圧を調整しながら行うと,安全ですしきれいに加工できます.その他の大穴はホールソーを用いると簡単にきれいに空ける事が出来ます.

 まずアルミ板の方の加工を先に行います.部品を仮止めしてみて問題ない事を確かめたら,真鍮板をアルミ板に重ねて,その上から穴あけを行います.こうすればズレることなく穴あけを行う事が出来ます.


 底板は 1mm 厚のアルミ製ハッチングを使用して通風を良くします.211 の周囲にも通風用の穴をたくさんあけます.

 側板は木製にしましたが,アルミ材でも良いと思います.1cm 厚の板を 2 枚重ね,内側を 4mm ほど沈めてここに天板を乗せます.下側も 1mm ほど沈めて底板をはめます.お金があるなら,2cm 厚の板から切り出すとソリもなくきれいに出来るでしょう.ただこういう加工は自分でやるのは大変なので,東急ハンズなどにお願いした方が良いでしょう.

 内部はプリント基板を多用して多くの部品を小さなスペースに収めています。

 写真の中,右に並んでいるケミコンは,ドライバー用の平滑コンデンサです。下部中央にあるのが出力段の電源部です。左側は,ヒーターの整流部です。

 211 のソケットは上面に端子が出ていますので,そのまま取り付けるわけにはいきません.今回は高ナットを使用して 5cm 程沈めました.スペーサを使用しても良いと思います.

 端子類は全て背面に取り付けましたが,今考えると,これは失敗だったように思います。背面にあると,接続を変えようとした場合,いくらか前に出さなければならず,本機は何しろ重いので,その度に大変な思いをすることになります。側面に付けるのがよろしいかと思います。また,音量調整用のボリュームと,入力端子が対角線上に配置されてしまい,入力信号が長距離を迂回することになってしまいました。パワーアンプなので,それ程神経質になる必要はありませんが,やはり,ボリューム,入力端子は側面に配置し,最短距離で配線した方が良い結果が出ると思います。


 正面,上部から見たところです。ほとんどギリギリですね。

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