有名な「テンペスト・ソナタ」。テンポの変化、リズムの変化の自由さ、そして独特の緊張感が印象的なソナタ。
前半のアルペジオが「静」なら、2つの八分音符がスラーでつながれた音型は大きな緊張を伴った「動」でその対照が見事。
左手の力強いアルペジオで始まり、右手が不安なテーマが答える。この受け答えのパターンは、第8番ソナタの第1楽章に似ている。
ここも2つの八分音符がスラーでつながれた音型が用いられて大きな緊張感を作りだしている。
これらの音型は新しいものだが、やはり独特の緊張感、焦燥を生み出している。
展開部。最初のテーマが長調で展開される。
そして2つ目のテーマが展開される。通例なら対照的な穏かな曲調の展開が予想されるところだが、この楽章全体を通じて緊張感が解かれることはない。
再現部に入る。
と、突如全く新しい音型が即興的にアレグロで始まるが、すぐに元のテーマに戻る。
最後は静かなアルペジオで消えるように終わる。
楽譜引用はヘンレ版から。
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