るいもの戯れ言

第3番は、和音、分散和音への執着が見られ、ベートーヴェンがこれまでと違った道へ進み出したことを伺わせる。1、2番で見られたような速いパッセージは無くなったものの、この出だしの3度はやっかいだ。

全曲を通じて分散和音が多用されている。

繰り返しの後、主題の展開が行われるかと思いきや、新しいテーマが現れる。

その後、ようやくニ長調に転調された主題が現われて展開されるが、長くは続かない。

この後も次々と新しいテーマが現われ、ベートーヴェンの意気込みが伝わってくる。和音やオクターブを強く弾く場面が多く、ベートーヴェンの特長が出てきている。

楽譜引用はヘンレ版から。

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フィナーレはロンド。この楽章も「速いパッセージ」へのこだわりが見える。

次は、もう少し速くなる。ここは最初の部分が16分音符の6連符になっているが、長さ的には8分音符の6連符の間違いだと思われる。

半音階とスタカートが印象的なパッセージ。全曲を通じて繰り返し用いられる。

今度はスケールとなって、更に速く。「どうだ、これが弾けるか?」と言わんばかり。

楽譜引用はヘンレ版。

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軽快なメロディが用いられた、かわいらしいスケルツォ。

左右の手の役割が逆転。

中間部は、短調に転じて雰囲気が対照的。

楽譜引用はヘンレ版

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暖かなメロディが特徴的な楽章。ゆっくりと歩いていくかのような左手のスタカートが特徴的。

第2楽章としては珍しく、最初のメロディの繰り返しの間に、様々なメロディがはさまれるロンド形式。

ここは、最初とスラーのかかり方が違い興味深い。

楽譜引用は、ヘンレ版。

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おそらく、ベートーヴェンのピアノソナタの中でも、もっともマイナーなものの1つだが、様々な試みが見られる。第2番でも、要所で非常に速いパッセージが現れる。最初の32分音符も左右で粒を揃えて弾くことは難しい

次のテーマは、短調となり、不安のような葛藤のようなものを感じさせる。

ここの16分音符の3連符で構成されるトレモロも、指定通りの速度で弾くのが困難なパッセージだ。

展開部は、最初の主題が繰り返し使われ、ベートヴェンらしさが伺える。

装飾音と16分音符の3連符とを組み合わせたダイナミックな展開が行われる。

最後は、最初の主題が繰り返されて終わる。

楽譜引用はヘンレ版

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最終楽章は、プレスティシモでピアノとフォルテをスタカートで繰り返すダイナミックな音型で始まる。

2つ目のテーマは、最初のテーマと対照的に憂鬱に上下する滑らかな旋律で、右手と左手とで同時に奏でられる。

下降するテーマが繰り返された後に、1つ目のテーマにつながっていく様は見事だ。

展開部は、長調となり左手の三連符が止んで、まるで雨が上がったかのようだ。

新たなテーマが展開を伴って繰り返される。

この曲は様々なテーマが現れて、若き日の意欲的なベートヴェンを思わせるが、再現部に入るまでのこの部分は、何度も最初のテーマが繰り返されて使用され、1つのテーマを様々に活用する往年のベートーヴェンの片鱗を伺わせる。

楽譜引用はヘンレ版

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今回から、Spotifyのリンクはプレイリストにしてみた。Spotifyでfollowしてもらえると喜びます。

ベートーヴェンの初期のピアノソナタは、4楽章構成が多く、第3楽章は短かめなものでフィナーレにつなげるケースが多い。第1番の第3楽章のメヌエットも、そういう性格の曲になっている。

最初の繰り返しの後も、同様の音型が続くが、最初とはスラーのかかり方を変えることで飽きさせない。

トリオは長調に転じ、流れるような音型となり対照的である。

さらりと、やっかいな二重音を挟んでくる。初期のソナタは要所に難しいパッセージが散りばめられるケースが多い。

D.C.で最初のメロディが繰り返されて終わる。

楽譜の引用はヘンレ版

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曲は三部形式で構成される。ベートーヴェンの緩徐楽章には、独特の暖かさがある。

暖かな日に青空を見上げるかのようなメロディが続く

中間部は短調となり、左手で不安な3度が奏でられる。

最初のテーマが、若干の変化を伴って繰り返される。

楽譜引用はヘンレ版。

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ハイドンに献呈されたソナタ。初期のベートーヴェンのピアノソナタは、「速いパッセージを軽やかに弾く」ことを要求される。ベートーヴェン自身がピアノの名手だったことから、その技巧の披露の目的もあったのだと思われる。この曲も、16分音符の3連符が多用されており、これは楽譜の指示通りだとかなり速い。

楽譜では余裕のある書き方になっているが、正確な長さを考慮すると、16分音符の3連符の長さというのは以下のようになる。

実際には多くの演奏では、以下のように単なる16分音符の長さに近い演奏が多いように思う。

展開部は長調で始まるものの、すぐに短調に戻る。

この部分は、目立ったメロディも無く、なんともベートーヴェンらしい。

楽譜の引用はヘンレ版。

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夜想曲20番として扱われていることが多い曲。エキエル版では"Lento con gran espressione"とのみ記載されており、ノクターンとは扱われていない。ショパンの姉が、ピアノ協奏曲第2番を練習する時のために書かれたと言われている。

曲は、晩秋の張り詰めた冷たい空気を思わせる印象的な和音の進行で始まる。

中間部は、左右でリズムの異なる謎かけのようなリズムで構成される。

一見難しそうだが、計算上は右手が三連符だと解釈すれば辻褄が合う。

最初のテーマが帰ってきた後、冷い風が吹き抜けるかのような連符が繰り返される。

最後は天に昇華していくかのように、消え入るように靜かに終わる。

楽譜引用はエキエル版

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